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ソーラー PV 設備に CAT III 定格のメーターを使用する理由

再生可能エネルギー, クランプ

ソーラー設備 (太陽光発電設備または PV 設備とも呼ばれる) は、電力事業スケールの太陽光発電の経済性に説得力があること、そして電力網を脱炭素化しようとする取り組みに後押しされ、急増を続けています。ソーラー配電システムと負荷が大きく複雑になるにつれ、過渡過電圧発生の可能性も増し、安全性がかつてなく重要な意味を持つようになっています。

Fluke 393 FC CAT III 1500 V TRMS クランプ・メーター

ソーラー専用: Fluke 393 FC CAT III 1,500 V TRMS クランプ・メーター

ソーラー設備の測定を行う際に、これらの過渡事象は目に見えないため、ほとんど不可避の危険です。つまり、測定者がどれだけ保護されるかは、ツールにすでに組み込まれている安全マージンに左右されることになります。そこで測定カテゴリー定格が役に立ちます。測定カテゴリーは、測定デバイスが安全に測定できる電気設備の種類をユーザーに知らせることを目的に設計されています。

定格電圧だけでは、ハンドヘルド・ツールがどのくらいの高過渡インパルスに耐えられるかは分かりません。カテゴリー定格も作業環境に適合させる必要があります。

過電圧カテゴリー定格について知っておくべきこと

測定カテゴリー定格を定義する規格は、すべて安全に関するものです。測定機器の安全規格は、国際電気標準会議 (IEC) によって策定されています。これは、電圧過渡現象が発生したときに、装置とオペレーターがシステム内の最も弱いポイントになったり、その後に故障箇所になったりすることを確実に防ぐためのものです。測定カテゴリーの定義は次のとおりです。

測定カテゴリー
CAT IV
  • 電源への低電圧接続が行われる「設置元」
  • 電気メーター、主な過電流保護機器
  • 屋外および引き込み口、電柱から建物への配電、メーターと配電パネル間の電線
  • 離れた建物への電線、井戸ポンプへの地下電線
CAT III
  • スイッチ装置や多相モーターなど、固定設備内の機器
  • 太陽光発電設備
  • 工業用施設のバスやフィーダー
  • フィーダーや短枝回路、配電パネル装置
  • 単相商業用照明システム
  • 引き込み口への短絡接続部を備えた電気機器用コンセント
CAT II
  • 電気機器、携帯ツール、その他の家電製品、それらと同等の負荷
  • コンセントおよび長枝回路
    • CAT III の電源から 10 mを超える距離にあるコンセント
    • CAT IV の電源から 20 mを超える距離にあるコンセント
























IEC 61010 測定カテゴリーは、本線の 3000 V 未満の測定のテスト機器に適用され、IEC 60664 の本線設備向けに定められている過電圧カテゴリー定義と過渡保護に対応しています。
 

配電システムのカテゴリー分類は、落雷やスイッチング過渡などの危険な高エネルギー過渡現像が、システムのインピーダンス (AC 抵抗) を通過するにつれて減衰する (弱まる) という事実に基づいています。カテゴリーが高いほど、推定故障電流が大きくなり、電圧過渡現象の電圧が高くなります。CAT III 1500 V 未満で測定されている本線の場合で、10,000 V に達することもあります。

ソーラー設備はカテゴリー III 環境

IEC 61730-1 では、PV モジュールを、恒久的に有線接続される電気設備 (カテゴリー III) として定義しています。使用されている電源コンセント (カテゴリーII) ではありません。

ソーラー設備はカテゴリー III 環境

電力会社のエネルギー・グリッドに接続されている太陽光発電設備の過電圧カテゴリー
 

ハンドヘルド測定ツールに対しては、実際の過電圧過渡値に対するテストを行うことに加えて、カテゴリー定格に適合する最小限の内部コンポーネントと回路ノード間の絶縁レベル (個体絶縁、クリアランス、沿面距離の組み合わせ) を持つことが求められます。絶縁により、内部回路の火災/アーク障害を防ぎ、オペレーターを感電から保護することができます。作動電圧と測定カテゴリー定格が高くなるほど、必要な絶縁力も大きくなります。

同じカテゴリー内では、定格電圧が高いほど、過渡耐久定格が高くなります。たとえば、定格が CAT III 1500 V のメーターは、定格が CAT III 1000 V のメーターと比べて、はるかに高いエネルギー過渡に耐えるため、より優れた保護性能を発揮します。

ますます高くなるソーラー設備の電圧

コストを節約でき、効率に優れた過電圧カテゴリー III 1500 V システムは、ソーラーの新しい標準になりつつあります。各インバーターが処理できるエネルギーが増えると、直列接続できるパネルの数が増え、作れるストリングが長くなり、必要な配線とインバーターの数が少なくなります。

安全と精度を確保するため、過電圧カテゴリー III 環境で測定を実施するには、CAT III 定格のツールが必要です。

Fluke 393 FC ソーラー・クランプ・メーターは、ソーラー設備などの CAT III 環境の絶縁要件に適合し、最大 1500 V DC を測定できる唯一の CAT III 1500 V/CAT IV 600 V TRMS クランプ・メーターです。

CAT III 1000 V 電流クランプの絶縁破壊試験は 8000 V pk/7000 V rms です。CAT III 1500 V の場合、10000 V pk/9700 V rms になります。

Fluke 393 FC CAT III 1500 V TRMS クランプ・メーター

Fluke 393 FC CAT III 1500 V TRMS クランプ・メーターは、1500 V PV 設備での使用に充分な定格を持つ世界で唯一の CAT III 定格クランプ・メーターです。
 

PV パネル用の測定ツールを選択する際は、その作業での最悪のシナリオを検討するのがよいでしょう。最初に、作業する可能性のある最も高いカテゴリーの定格を持つメーターを選択します。次にニーズに一致する定格電圧を探します。使用する環境に適した CAT 定格ツールを選択すれば、信頼度の高い測定を実施し、同時にリスクを下げることができます。

393 FC は、PV アレイ電気設備の過電圧カテゴリー・レベル (IEC 61730-1) に対応するテスト機器の安全要件 (IEC 61010-2-032) を満たしています。ソーラー用途とバッテリー用途で 1500 V DC まで安全かつ正確に測定することが可能です。また、次のような特長を備えているため、作業が容易になります。

  • ジョーが Fluke 37x メーターよりも 25 % 薄いため、狭く過密なスペースでの測定も迅速かつ簡単に実施可能
  • ほこりの多い場所や雨天などの屋外環境でも使える IP 54 保護等級
  • Fluke Connect™ でデータをクラウドに収集・保存することで、どこからでもアクセス可能
  • CAT III 1500 V 絶縁テスト・リードが付属
  • フルークの基準を満たす安全性、堅牢性、信頼性

ソーラー設備に CAT III 定格のツールを使用する理由を、お分かりいただけましたか?一番重要なのは、ユーザーの安全です。ご自身の(そしてチームの)保護を担うツールは、作業に適した定格を持つものでなければならないのです。