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太陽光発電システムのトラブルシューティング: よくある一般的な 3 つの問題

HVAC(冷暖房空調設備), 再生可能エネルギー, エネルギーマネジメント, トラブルシューティング

国内のソーラー設備数は年々増加しており、太陽光発電 (PV) システムの効率的かつ効果的なトラブルシューティングを熟知している技術者への需要はますます高まっています。

ソーラー・パネルの列の間に立ち、Fluke 393 FC を使用して 1 つのパネルの背面で測定値を読み取る技術者。

トラブルシューティングは、プロのソーラー技術者にとって、スキルセットの重要な部分を占めています。ここでは Fluke 393 FC を使用し、PV パネル背面で測定値を取得します。

PV システムのトラブルシューティングは、通常、PV パネル、負荷、インバーター、コンバイナー・ボックスの 4 箇所を中心に実施します。

Fluke 393 FC CAT III 1500 V クランプ・メーターは、ソーラー設備のほとんどの箇所の作業に使用できる、オールラウンドな理想的ツールです。これは、世界で唯一の CAT III 1500V 定格に適合する IP 54 AC/DC クランプ・メーターであり、ソーラー PV 用途のテストや測定用にカスタマイズされた DC 電源、音による極性判定、導通の視覚的確認機能などを備えています。

Fluke 393 FC (テスト・リード、iFlex フレキシブル電流プローブ、マグネット・ホルダー、キャリング・ケース付き)

Fluke 393 FC CAT III 1500 V True-rms クランプ・メーター (iFlex™ フレキシブル電流プローブ使用)

1.PV パネルのトラブルシューティング

最初に、測定システムまたはインバーターで、システム全体の出力を点検します。トラブルシューティングを開始する前に、インバーターの入力電圧とアレイからの電流レベルを点検して記録します。以下の 2 つのシナリオのうちの 1 つが発生する可能性があります。

  • PV システム全体またはその一部が停止しているか、電力が供給されていない。これは、インバーターの問題に関連している可能性があります。
  • または、PV システムの出力が想定よりも低い。これは、アレイまたはモジュールのうちの 1 つの問題に関連している可能性があります。

個々のブランチ配線をコンセントレーターから逆方向に点検します。システム全体のヒューズを目視点検し、ブレーカーとスイッチをリセットします。断線、接続部の緩みや汚れを点検し、必要に応じて清掃、交換します。モジュール間の接続の緩みにも注意します。緩んだまま稼働させると、接触不良が生じるおそれがあります。

コンバイナー・ボックスにより、モジュールからの各配線がボックスに戻されるため、システムのトラブルシューティングに最適です。各モジュールには、Fluke 393 FC で点検すべきヒューズが装備されている場合があります。

配線の問題や接続の緩みにより、モジュールの生成電圧が低下するおそれもあります。すべての配線接続を点検します。モジュールの出力が低い場合、セルの個別のセクションに不具合がある可能性があります。問題の原因を見つけるために、ジャンクション・ボックスで、393 FC を使って追跡できます。

Fluke 393 FC は、Voc をテストする際に、音声で極性警告を発します。極性が逆になっている場合、コンバイナー・ボックス内の他の回路が誤って直列に接続され、最大インバーター入力電圧を超える電圧が発生する可能性があります。  

モジュール自体に汚れや影があると、出力が低下する可能性があります。モジュールは通常、長期間メンテナンスフリーで動作するよう設計されていますが、清掃が必要となる場合があります。地域によっては、花粉やほこりが重大な問題につながる可能性があります。

2.PV 負荷のトラブルシューティング

PV システムは、建物の電気負荷の稼働に使用されます。負荷に問題があると、システムにも影響があります。最初に、Fluke 393 FC を使って負荷開閉器、ヒューズ、ブレーカーを点検し、負荷の接続部にかかる電圧が適切であるかを確認します。次に、393 FC を使ってヒューズと回路ブレーカーを点検します。ヒューズが切れたり、ブレーカーが落ちたりする場合は、原因を特定し、故障したコンポーネントを修理または交換します。負荷がモーターの場合、内部のサーマル・ブレーカーが落ちたり、モーターに開放巻線がある可能性があります。テストのために別の負荷を接続し、正しく動作するかを確認します。

他の電気システムと同様に、断線や接続の緩みがないかを点検します。汚れた接続部をすべて清掃し、不具合のある配線をすべて交換します。電源オフの状態で、接地の不具合を点検、修理します。再度、ヒューズが切れたり、ブレーカーが落ちたりする場合は短絡があるため、その位置を確認し、修理する必要があります。

それでも負荷が正常に動作しない場合は、Fluke 393 FC を使って、負荷の接続部でシステムの電圧を点検します。配線のサイズが小さすぎる場合は、大きいサイズに変更する必要があります。または、負荷を流す配線が長すぎる可能性もあります。長すぎる場合、負荷時に低電圧と表示されます。この場合は、回路の負荷を減らすか、より大径の配線を使用します。

3.PV インバーターのトラブルシューティング

日常生活で可変速度駆動が使用される機会は多く、AC および DC 電源の点検も一般的に行われています。PV システムのインバーターも故障し、問題を引き起こす可能性があります。インバーターは、PV システムから供給された DC 電源を、建物で使用するための AC 電源に変換します。

インバーターが適切な出力を生成していない場合は、最初に、インバーターを駆動する DC 入力電圧と電流レベルを点検し、記録します。AC 側では、Fluke 393 FC を使ってインバーターの出力電圧と電流レベルを点検します。これらのシステムの多くにはディスプレイが装備されており、現在のインバーターとシステム性能が表示されます。393 FC は真の実効値を生成するため、電圧と電流を使用して、キロワット (kW) 出力を測定および記録できます。可能な場合は、インバーターのディスプレイに現在の総キロワット時 (kWh) を表示します。この値を書き留めておくと、前回の点検で記録した値と比較することができます。DC 側では、393 FC を使って DC 電源を点検し、測定値を携帯電話の Fluke Connect™ アプリに保存できます。

インバーターが適切な電力量を生成しない場合、複数の問題が考えられます。これらの問題はすべて、Fluke 393 FC を使って簡単に点検できます。

  • ヒューズが切れる
  • ブレーカーが落ちる
  • 断線

393 FC を使ってインバーターの出力 AC 側を測定します。インバーターの負荷に対して、電流需要が高すぎる場合があります。AC 電圧と周波数を表示するデュアル・ディスプレイにより、インバーター AC 出力が正常に動作しているかを判断できます。

インバーターは、ローカルのユーティリティに接続されていることがあります。インバーターからの AC 電流出力は、アレイのソーラー入力レベルに応じて変動します。インバーターは、ユーティリティへの正しい出力電圧と位相を維持します。ユーティリティの電圧に問題があると、インバーターがシャットダウンする可能性があります。その場合は、ユーティリティに連絡して修理を依頼してください。

テスト・リードを使用して測定を行うグローブとフェイス・シールドを装着した技術者とオープン・インバーター・パネルの隣に下げられた Fluke 393 FC クランプ・メーター。

Fluke 393 FC CAT III 1500 V クランプ・メーターは、DC 電源、AC/DC 電圧および電流の測定、インバーターのトラブルシューティングに役立ちます。

4.コンバイナー・ボックスのトラブルシューティング

コンバイナー・ボックスのトラブルシューティングを行う場合、PV アレイが正常に動作しているかどうかを確認するために、アンペア数の測定と計算が不可欠です。個々のアレイの電流を測定する、または電流の測定を組み合わせることで、セルの機能に不具合があるかを判断できます。

Fluke 393 FC クランプ・メーターの薄型ジョー設計により、インバーターやコンバイナー・ボックスなどの狭いスペースや混み合ったスペース内でも、ジョーに複数の導体を配置して、電流の組み合わせ測定が可能です。