一日の予定が電気設備の検査やテスト、トラブルシューティングで埋まっているような場合でも、Fluke 1670 シリーズの多機能設置テスターなら、簡単に作業を進めることができます。1670 シリーズのテスターは、IEC 60364-6 や、ご使用地域の関連の設置テスト基準に準拠しているため、個人や法人、産業利用において、作業を安心して迅速かつ効率的に行うことができます。
このガイドでは、Fluke 1674 FC を使用した IMD、SPD、電圧降下テストの実行方法を解説し、手動テストと比べ、自動テスト機能でどのように時間を節約できるのかをご紹介します。

絶縁監視装置 (IMD) テストとは
絶縁抵抗は、電気設備の安全性と信頼性を確保するための重要な試験です。IMD テストでは、IT (アースなし) システムの絶縁抵抗を監視し、抵抗が設定されたしきい値を下回る場合にアラームで知らせます。これにより、電気的危険を防止し、IEC 安全規格に確実に準拠することが可能です。
Fluke 1674 FC を使用した IMD テストの実施手順
- メインメニューで IMD オプションを選択します。
- 画面左側のアイコンをタップして、システム要件に応じた適切な抵抗値 (1 kΩ~500 kΩ) を選択します。(スクロール・ホイールを使用する場合は、値を選択してから、[ENTER(確定)] キーを押し、選択内容を確定します。)
- IMD 測定のタイマーを開始するには、[TEST(テスト)] を押します。
- IMD アラームが故障を示していない場合は、[TEST(テスト)] を押してストップウォッチを停止します。
- アラームが絶縁不良を示すまで、上記の手順を繰り返し、応答抵抗を変更します。アラームが故障を示している場合は、[TEST(テスト)] を押してストップウォッチを停止します。
サージ保護装置 (SPD) テストとは
サージ保護装置 (SPD) は、装置を損傷させるおそれのある高電圧ピークから電気設備を保護します。テストを行うことで、SPD が通常の条件下で確実に高インピーダンスを維持し、サージに適切に応答するようにします。
Fluke 1674 FC を使用した SPD テストの実施手順
- メインメニューで SPD オプションを選択します。
- テスト要件に基づいて、画面左側から L-N、L-PE、N-PE、および 500 V または 1,000 V のいずれかを選択し、入力と電圧レンジを設定します。
- [TEST(テスト)] を長押しすると SPD 測定を開始します。テスト電圧はプリセット値に向かって上昇しますが、SPD が導通し始め、最大許容テスト電流 1 mA に達したところで停止します。これにより、テスト中の SPD の損傷を防止できます。
- テストが完了すると、画面の VDC と VAC の両方の代表値に結果が表示されます。
- 測定が終了したら、被試験装置が完全に放電するまで待ちます。
電圧降下テストとは
電圧降下テストは、予想される電圧降下をボルトで測定し、基準点 (通常は配電盤) から特定のコンセントまでの電圧降下をパーセンテージで測定します。これにより、IEC 60364-5-52 規格に規定されている許容範囲内に電圧レベルを維持できます。Fluke 1670 シリーズの多機能設置テスター 3 機種 (1672、1673 FC、1674 FC) すべてで電圧降下テストを行えます。
Fluke 1670 シリーズのテスターを使用した電圧降下テストの実施手順
- 正確な測定を行うために、テスト・リードがゼロ調整されていることを確認します。
- 選択フィールド (6 A~40 A) から適切な回路設計の公称電流を選択します。
- 基準点 (配電盤など) でテストを行い、基準値を取得します。
- [TEST(テスト)] を押して ZREF 測定を開始します。
- 各コンセントまたは接続ポイントでもう一度 [TEST(テスト)] を押し、コンセントをテストします。
- 電圧降下が許容範囲内 (4 % 未満) であることを確認します。必要に応じて、ユーザー定義の制限値を設定します。
自動テストとは
自動テストは、[TEST(テスト)] を 1 回押すだけで、起動時に選択したシーケンスで一連のテストを自動で実行する機能です。Fluke 1673 FC および 1674 FC テスターには、使用頻度の最も高いテスト用プリセット・シーケンスが 3 種類用意されています。また、ユーザー自身でプログラムできる設定を使用して、特定のニーズに合わせてシーケンスをカスタマイズすることも可能です。自動テスト・シーケンスの結果が、表に表示され、その内容は測定が完了するたびに更新されます。
- 自動テストで時間を節約 : 自動テストは、手動セットアップによるテストよりも最大 30 % 素早く必要なテストを実行し、時間を節約します。特に大規模なプロジェクトで、時間の節約効果を実感いただけます。
- 自動テストが手動エラーを低減 : テスト・シーケンスの自動化により、一貫性のある信頼性の高い結果を取得することができ、手動によるエラーを低減します。
- 自動テストは簡単に使用可能 : ボタンを押すだけですべてのテスト・シーケンスが実行されるため、経験の浅い技術者でも複雑なタスクを簡単に実行できます。
- 自動テストで包括的なテストが可能 : 導通、絶縁抵抗、ループ・インピーダンス、RCD、極性、接地抵抗などのテストを包括的に行うことが可能です。手順の漏れなく、必要なすべての検査を完了します。
- 自動テストなら、すぐにフィードバックを得ることが可能 : 合格 / 不合格がすぐに視覚的に表示されることで、問題を迅速に特定し、対応することができます。
注記 : 自動テスト・シーケンスは RCD をトリップします。絶縁テストはシーケンスの一部であるため、必ず被試験回路からすべての機器が外されていることを確認してください。
Fluke 1673 FC または 1674 FC を使用してプリセットされた自動テストを順番に実行
自動テストのプリセットを使用すると、最も使用頻度の高いテストを素早く効率的に実施できるため、経験の浅い技術者でも自信を持ってテストを行うことが可能です。
- [AUTO TEST (自動テスト)] モードを選択します。
- 電源のテスト・コードをテスターに接続します。
- ループ・インピーダンス・テストを実行する前に、テスト・リードをゼロ調整します。
- 電源のテスト・コードを被試験ソケットに挿しこみます。
- RCD とテストの種類を選択します。
- RCD の公称短絡電流を選択します。
- [TEST(テスト)] を押します。
主要画面にループ・インピーダンス Z またはライン・インピーダンス Z が表示され、補助画面には、PEFC または PFC(k) が表示されます。RCD がトリップし、トリップ電流に続いてトリップ時間がテスターに表示されます。絶縁テストが開始され、それぞれのテストが完了すると結果が表示されます。各テストが完了するたびにビープ音が鳴ります。絶縁安全プリテストがアクティブになっているため、安全プリテストの警告を上書きすることはできません。絶縁安全プリテストが機器の接続を検出すると、テスト・シーケンスが停止します。 - テストが完了したら、RCD をリセットします。
- 測定結果は一時メモリに保存されます。測定結果を後で呼び出すために保存する場合は、[SAVE(保存)] を押します。
Fluke 1674 FC による自動テストをユーザーがプログラム可能
Fluke 1674 FC によるプログラム可能な自動テストは、カスタム自動テスト・シーケンスで、テスト順序の選択や一時停止、再開を自由に設定することができます。回路の通電 / 通電停止 / 操作など、特定の要件に合わせてカスタマイズ可能な自動テスト・シーケンスを 3 種類まで設定できます。
カスタム自動テストを作成または編集するには :
- [FUNCTION (機能)] を押します。
- [Auto Test (自動テスト)] を選択します。
- 自動シーケンスを保存するカスタム番号を選択します。カスタム・シーケンスに保存されたテストが含まれる場合、画面の左側に詳細が表示されます。テストが割り当てられていない場合、このエリアは空欄になっています。
新しいテストを追加するには :
- [Add Function (機能を追加)] を選択し、ポップアップリストから追加する機能を選択します。
- 設定を選択します。
- [2] をタップしてセットアップ画面を終了します。
上記の手順を繰り返すことで、さらにテストを追加できます。
機能を編集または削除するには :
- テストを選択します。
- 設定を変更するか、[Remove Function (機能を削除)] を選択します。
フルークの確度なら効率が向上
Fluke 1670 シリーズの多機能設置テスターは、電気系統試験のワークフローの効率と正確さを向上し、IEC 60364-6 とご使用地域の設置試験基準への準拠を簡単に行えるよう設計されています。自動テスト、Fluke Connect™ (1673 FC および 1674 FC)、TruTest™ ソフトウェアなどのパワフルな機能を使用することで、フルークの確度と信頼性に基づいた時間の節約と確実な結果が実現します。